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静電気の物理

2-3 誘導分極と静電誘導

誘導分極と静電誘導

 
不導体に電界を加えると分極が起こります。電界を加えると各分子の原子(または分子)は、プラスの電荷を帯びた部分とマイナスの電荷を帯びた部分(微視的な電気双極)に変位します。物質の内部では各原子(または分子)のプラス、マイナスは隣の分子により打ち消されるため、電荷は現れませんが、物質の表面では変異の最後の電荷が現れるため、片方がプラスに、他方がマイナスになります。 
 電荷により分極が起こる現象を誘電分極といいます。また誘導分極を起こす不導体を誘電体といい、誘電分極のおこりやすさを誘電率といいます。真空の誘電率の倍数で表現するものを比誘電率といい、誘電率が大きい物質を強誘電体といいます。 



 
 自由電子のない不動体では電荷が移動できないたま、その表面に電荷が生じることはないようにも思いますが、実際には分子自体が電荷の偏りを持っていて、これが整列したり、あるいは分子内の電子が加えられた電界と逆方向にかたよるために引き起こされます。よく似た現象に静電誘導がありますが、こちらは導体の場合に起きる現象です。 
 

静電誘導 


 
金属のような導体の誘電分極を静電誘導といいます。帯電した物体を導体に近づけると、帯電体に近い部分は帯電した物体と逆極性の電荷が集まり、遠い部分には、同極性の電荷が集まる現象のことです。導体の内部には電界がなく、自由電子と呼ばれる原子核から束縛らか逃れることの出来る電子が豊富であり、これらの移動によって電子の流れ(電流)が生じます。 
 外部からの電界で電子は導体の表面に移動し、電界が残っている間は電子の移動は止まりません。導体内の電子が帯電体の方に引きよせられるか、または逆に反発されるため起こる現象で、クーロンの法則により説明されます。つまり、導体の場合には、内部の電位がどこでも一定になるように電荷が移動し分布します。 
 このとき、電荷は導体内の電位差を解消するため、導体内の電位差を解消するように移動するため、導体内部は等電位となります。導体を用いて覆い、内部に電界が生じないようにすることを静電遮蔽といいます。導体の多い電界の中に置いたとき、導体の覆いの表面の電荷が移動して外部の電界を打ち消すため、導体の覆いの内部には電界がなくなるわけです。 



 

電荷は細く尖った部位に集まる 


 
一般に、導体上に電荷が現れるのは、導体に電圧を印加した場合と、静電誘導が起きた場合です。静電誘導で、生じた電荷を誘起電荷といいます。電荷は細く尖った(曲率半径が小さい)ところに集まりやすいものです。細く尖った先端では電荷同士の反発力が小さくなるため電荷が密集しやすいのです。電荷がたくさん集まると、先端の電位勾配(電界)が強くなり、やがて空気の電離エネルギーを超えると放電が始まります。
 一方、平坦で尖っていない(曲率半径が大きな)部分では、電荷同士の反発力が大きく、多くの電荷が集まりません。したがって平坦な部分からは放電しないことになります。 


 
 
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この記事を書いたのは
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監修
経歴
高柳 順
名古屋大学大学院工学研究科量子工学専攻卒(工学博士)。専門は量子工学・応用物理学。名古屋産業科学研究所研究員やアイシン精機(現アイシン)を経て、株式会社TRINC(トリンク)現社長。
 

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